ソフトウェア開発と
真摯に向き合う、
若手社員の成長ストーリー。
~自分を奮い立たせ、向かった初めての土地~
ドイツ東部のドレスデンという街にある半導体製造工場を持つI社様から、新規ライン増設の受注を頂き、本プロジェクトが立ち上がりました。
半導体はクリーンルームというちりやほこりが発生しない特殊なエリアで、いくつもの製造工程を経て形成され完成します。その工程の中で、原料を一時保管庫するためのストッカーの搬送制御をムラタシステムは担当しており、I社様の新規ラインには、新機種を導入することとなりました。
開発のプロジェクトメンバーは3名で、藤本は開発から検証、現地への納入までを任されました。
「クリーンFA事業部全体で見ると海外案件は決して珍しいものではありません。私は2018年に中国の企業の新しいソフトウェア開発の立ち上げに携わったことをきっかけに、海外案件を中心に担当させてもらい、今回が3件目でした。
半導体工場は大規模なシステムを導入することが多いため、設備を担当する村田機械側がプロジェクト全体を統括し、現地調整も村田機械担当者の指示をもとにムラタシステムが動くということがあります。しかし、今回のI社様の現地調整では、ムラタシステムがお客様と直接やりとりすることになっていて、私にそれができるだろうかという不安もありつつ、自分がやらないといけないという気持ちでした。
過去に担当した海外案件は中国とシンガポールで、2つともアジアの観光地だったので、なんとなく身近に感じましたが、今回はドイツのドレスデンでのプロジェクトと聞いて、正直どこにあるかもわからなくて・・・。英語も得意ではないし、日本人も少なそうな街に行くことにますます不安になりました。」
~現状維持ではなく、ベストを目指す~
今回のプロジェクトは、2019年の9月頃に始まり、現地での導入テストとレクチャーのためI社様に向かったのは同年12月。全体で約3ヶ月のスケジュールは、ムラタシステムでは中規模のプロジェクトに位置付けられます。藤本は、プロジェクトリーダーから、今回対応する内容の説明を受け、藤本を含むムラタシステムのスタッフ3名が中心となり、この案件を進めていきました。
「プロジェクトに参加するにあたって、まずは旧機種への理解を深めることが、新しいものを不具合なく作れることにつながると思ったので、旧機種に関わる資料を収集し、読み込んだうえで臨みました。また、今回のようなシステムのリプレイス案件の場合、使い勝手がわかっている既存のシステム制御は維持したまま、新たな利便性の追加を求められることがよくあります。しかし、既存のシステム維持を優先すると、利便性が低くなってしまうことも考えられます。そこで、改善した方がよいところは、チームメンバーにも相談しつつ、積極的に提案するようにしました。
現地テストでは、実はうまくいくことばかりではなく不具合もあって。不具合に関しては、日本でのシミュレーション時に想定していた現地実機でのデータ取得タイミングが違ったことが主な要因でした。不具合部分は日本で調整しないといけないため、すぐに日本にいるチームメンバーに連絡し、不具合箇所の共有や納品までのスケジューリングも再度行いました。幸い、今回に関しては納期に融通が効いたのでお客様との調整もスムーズに進みました。」
~想定外の出来事も、自分の糧に変えていく~
藤本がドレスデン工場に現地入りし、テスト作業も終盤に差し掛かった頃、日本から連絡が入りました。
「I社様のオーストリアにある工場でも同じソフトを流用した案件が進んでいたんですが、ムラタシステムの担当者が体調不良で行けなくなったということで、当時ドイツのドレスデンにいた私にオーストリアへ急遽行ってくれないかという連絡でした。ドレスデン工場案件終了後、オーストリアへ直行、緊急対応をし、当初の2週間出張予定が1ヶ月くらいになりました。こんなこと普通はないので、今でも信じられません(笑)。
今回は納入するソフトウェア自体やシステムの内容がドレスデンとオーストリアでほぼ同じだったので対応できました。正直、経験がない頃だったら話があった時点で無理だからやめてくれとなっていたかもしれないですが、異国の地でのこれまでの経験を通して、想定外の出来事に対する対応力なども身についた気がして、自分の自信にもつながりました。
現在は、I社様と同様の案件で、アメリカの企業様の設備更新を担当していますが、納入する規模もテストの工程も今までとは比べ物にならないくらい厳しく、これまでとは違った対処や準備が求められることもあります。特に品質管理においては、少しの不具合も許されないので慎重に進めないといけないですが、今までの経験を生かして、お客様に満足していただける製品を提供していきたいです。」